コツボゴケの蒴、未成熟で散るッ…!!テラリウムで蒴は難しい。

春を迎え、あっという間に初夏。生長期を迎えたテラリウムのコツボゴケたち。去年末~今年の初めぐらいにできてきた蒴(さく)がどうなったのか?

コツボゴケの蒴の生長記、最終章です!

↓↓↓コツボゴケ本体から立ち上がっているヒョロっとしたやつ(蒴柄)の先っぽのぷっくりしたやつが蒴です(全部ミドリで見分けづらいけど)。

コツボゴケと蒴
コツボゴケと蒴

蒴(さく)とは?苔植物の繁殖方法をおさらい

コツボゴケの繁殖方法についてのおさらいです。なんか毎回書いているような気がしますが、このブログを読んでくださっている皆様が必ずしも苔通とも限りませんからね。

苔植物の繁殖方法は…

  • 有性繁殖
    苔植物は種子植物と異なり種をつくりません。そのため花を咲かせません。その代わり苔植物は胞子をつくり繁殖をします。雄株と雌株(種類によっては雌雄同株)がそれぞれ造精器と造卵器をつくり、受精することで蒴(さくと読みます)といわれる胞子嚢ができます。成熟した胞子嚢から放出された胞子が着生することで新芽がでます。
  • 無性繁殖
    苔植物が自身のクローンをつくることで増える繁殖方法です。何らかの要因でちぎれた苔の一部から発芽する場合や、意図的に自身の一部をちぎれやすく(無性芽といいます)することで周囲に繁殖域を広げていきます。種類により様相はだいぶ異なりますが、脇芽を出す場合や地下茎(一次茎)から新芽を出して繁殖する苔もいます。

苔の種類よってこのどちらか、あるいは両方の方法で繁殖をします。コツボゴケは有性と無性、両方の方法で増えます。

我が家のテラリウムのコツボゴケは有性繁殖をおこない(おそらく採取前に)、蒴をつくっています。ちなみにコツボゴケは雌雄異株の苔植物ですが、我が家のコツボゴケは本当にコツボゴケなのかはわかっていません。よく似ているツボゴケは雌雄同株だったりします。

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蒴が枯れた

野生のコツボゴケと比べても、明らかに小さい我が家のコツボゴケの蒴。早く大きくならないかなぁ~と思っていたら、

かなり盛大にカビました。

蒴。カビた
蒴。カビた

矢印部分の白いのがカビですね。

茶色く変色した苔と違って、役目(胞子放出)を終えた蒴は生命活動をしていないので間違いなくカビます。

ですが、今回は蒴に薄皮が付いた状態でカビてしまいました(しかも小さい)。

未成熟ですね。たぶん。お役目を果たす前に蒴が枯れてしまいました。やはり野生の状態と違って、環境が一定で安定しているテラリウムでは、蒴が成熟するための刺激が足りないのでしょう(おそらく)。

もうこの状態では何ともならないので、カビがコツボゴケ本体に広がる前に蒴をピンセットで引っこ抜いていきます。

これまでのコツボゴケのあゆみ

さて、残念なことになってしまったコツボゴケ(の蒴)ですが、これまでの歩みを時系列でまとめてみます。

  • 2022年8月
    山中の人家近くで採取。この時点では雄花盤(造精器)も造卵器も確認できず。おそらくすでに受精をしていたと思われます。
    一応これまでもコツボゴケだと思って記事を書いていますが、採取地が山の中だったこともあり、森林性の環境を好むツボゴケの可能性もあると思っています。まぁ顕微鏡で観察しないと結論でないんですけどね。
  • 2022年12月~2023年1月初旬
    正確な日時はわかりませんが、この頃に蒴ができてきました。最初はヒョロヒョロとしたヒモが立ち上がってきて、先端が膨らんでいきます。
コツボゴケの成長途中の朔
コツボゴケの成長途中の朔。2023年2月
  • 2022年2月
    中旬から下旬ごろだったと思いますが、近所の公園のコツボゴケも蒴が立ち上がり始めます。
  • 2023年3月
    我が家のテラリウムのコツボゴケ、近所の公園のコツボゴケ、共に蒴が生長する。ただ、公園のコツボゴケの蒴の大きさに比べると、ウチのコツボゴケの蒴はやや小さ目。公園は公園で、踏み荒らされて徐々に蒴の数が減る。
コツボゴケのテラリウム
2023年3月の我が家のコツボゴケの蒴
公園のコツボゴケ
公園のコツボゴケの蒴
  • 2023年5月
    我が家のテラリウムの蒴が枯れる。公園のコツボゴケの蒴も茶色に変色。

テラリウムでは胞子での繁殖は難しい!

やはり適度な温度と一定の湿度が保たれているテラリウムで、胞子での繁殖は難しいのではないかと思います。苔の種類にもよると思いますが。

テラリウムの環境では、蒴や繫殖器の成熟に必要な刺激が足りないのではないでしょうか?温度変化の大きさや、通風、乾湿を繰り返す環境をつくればあるいは…。

まぁ観賞が目的のテラリウムにそこまですんのかって話になりますが。

蒴は終わりましたが、これからは雄花盤と造卵器の生成時期になりますな。たぶんこちらもテラリウムでは成熟は難しいでしょう。

でも観察していきます。それでは。


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