しかし、本当に彼らはコツボゴケなのか?

いつもはライトな書き口を意識してますが、今回は苔に関するディープな、苔の同定(この種類だよっ!て見極めること)の話です。

結論は顕微鏡がきゃわかんねぇよ。ですが。

匍匐茎と直立茎
我が家のコツボゴケ疑いの容疑者たち。

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コツボゴケじゃないかも

苔の世界は奥深くて、あんなに小さな彼らにもドラマがあります。研究や生産を生業としているような、専門家の方がたくさんおられる、「苔」の深淵に素人なりに切り込んでみたいと思います。(今回の記事の内容に誤りがある場合があります。何分素人故、ご容赦ください)

さて、本題です。最初の投稿で取り上げたコツボゴケ。

もしかしたらコツボゴケじゃないかも。と、いうもの見た目がほぼ同じで、素人には全く区別のつかない、近縁種がいくつか存在するからです。じゃあ彼らは本当は何なんだ?

コツボゴケのちゃんとした話

蘚類チョウチンゴケ科コツボゴケ。学術的な分類です。このコツボゴケの属する、チョウチンゴケ科の苔たちが同定を妨げる近縁種です。

コツボゴケは二つの草体を持ちます。

匍匐茎(ほふくけい)…茎に対して左右に葉をつけます。水平方向に生長し、他物に接触すると仮根を出し、着生。その後草体から別の茎を出します。主にコロニー(群生体)を広げる役割を持つと考えられます。

直立茎(ちょくりつけい)…茎に対して放射状に葉をつけます。垂直方向に生長する茎。高さは2~3cmぐらい(ウチの場合)。先端に雄花盤(雄株)と造卵器(雌株)をつくる。

匍匐茎と直立茎
匍匐茎と直立茎。濃い緑が採取した親株。若草色がテラリウム環境で発芽した株。

左の矢印が匍匐茎、右が直立茎です。全く姿の異なるこの二つ草体を合わせ、一種のコツボゴケです。

ちなみに、コツボゴケは比較的乾燥に強く、乾燥が続いた場合は葉を縮れさせ、次の雨までその状態で耐えます。ウチのコツボゴケ(の疑い)は、雨の日に採取後、乾燥させたことがありません。そのため、縮れたところを確認していません。乾燥状態の観察は、仕立て直しの時などにいずれ。

コツボゴケの増え方

一般的に苔は二つの方法のいずれか、または両方で増えます。

無性繁殖…株本体、またはその一部から新芽を出し増える繁殖。クローン体。

有性繁殖…造精と造卵を行い、受精後、胞子嚢(蒴、サクと読む)をつくり、胞子から発芽し増える。

道草さんのコラムで苔の増え方を扱っておられます。ちょうどコツボゴケに触れていますね。

コツボゴケは雌雄異株です。ウチの連中は現在、蒴は見られますが、造精器である雄花盤(ゆうかばん)や、造卵器は見られず、これまでも確認していません。

ウチに来たのは去年の8月なので、受精が終わった頃に採取したことになりますね。今年も有性繁殖してくれるのならば、雄花盤が見れるのは5月頃でしょうか。テラリウムで見れるかなあ。

初めてウチの門をくぐったころの彼ら

ウチに来たばかりの頃の彼らです。去年の8月。

コツボゴケ家直後
我が家に来た直後のコツボゴケ。ほとんどが直立経だった。
コツボゴケ家直後
拡大!我が家に来た直後のコツボゴケ。

ほぼ、直立茎。近所の公園のコツボゴケがほとんど匍匐茎なのに比べると、異様な光景。そこに違和感を持ったわけです。コイツら本当にコツボゴケか?と。他にもデカい葉の形がなんか違う色が鮮やか、などちょっと?と思うことが疑惑に拍車をかけました。

ただ、苔は同じ種類でも生育環境ごとに、異なる見た目になることが多いそうなので、外見だけで種の同定はできなさそう。

コツボゴケの近縁種

それで、近縁種ですが、まずは分かりやすくコツボゴケと違う種類。

ツルチョウチンゴケ…葉先が丸い。また、葉にしわが入る。

アツバチョウチンゴケ、オオバチョウチンゴケ…葉先が丸い。

チョウチンゴケ科のなにか。
チョウチンゴケ科のなにか。

画像の矢印は、オオトラノオゴケに紛れていたウロコゴケに紛れていた胞子から発芽したと思われる、チョウチンゴケ科の何かです(紛らわしい)。アツバチョウチンゴケか、オオバチョウチンゴケかでしょう。こちらも同定は難しそう。

んで、目視では判別不能な、疑惑の種類。

ツボゴケ…雌雄同株。コツボゴケよりちょっと大きく、より森林性の環境を好む。

ヤマトチョウチンゴケ…コツボゴケよりだいぶデカい。乾燥しても葉が縮れない?雌雄異株?ネットに情報が少なくてよく分からない。1株から蒴柄を1~3本出す?うーん。

これらの見分け方は、葉身細胞の大きさ、葉歯の細胞数、中肋の形状を顕微鏡で観察して見分けるそうです。…私には無理ですな。

同定。それは悲しいサガ

いくつか取り上げた、これらの種類。見た目が似ている(またはほぼ同じ)だけあって、自生環境もほぼ同じ。つまり、育て方に違いはない。ってことになります。

種類の特定に意味はあるのか?

山があったら登るのと同じです。園芸好きは見つけたがり、調べたがり、分けたがり、決めたがり、植え替えたがり、水をやりたがります(個人の意見です)。光に群がるのと同じです。そう、習性です。

ヤマトチョウチンゴケだったら(たぶん)レア。販売はされていませんからね。これです。ここに意義を見出します。

結論は、絞り込めるけど分からない

まとめるとこうなります。

ツルチョウチンゴケ、アツバチョウチンゴケ、オオバチョウチンゴケ→そもそも葉の形が違う。

5月ごろに雄花盤と造卵器が別々の株でできる。雌雄異株。→コツボゴケ、(ヤマトチョウチンゴケ?)の可能性がある。

繁殖器が一つの株ででき冬に蒴ができ始める雌雄同株。→ツボゴケ

有性繁殖しない。→わからない。

テラリウム環境では、蒴はめったにできないらしいです(繁殖器が成熟しないため受精しない)。

まぁ元気に育ってくれるのが、まずは一番ですな。以上です!


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